幼児が数を獲得するとき••••自ら気付くまで

子どもの暗記力は凄まじく、よく吸収の良いスポンジに例えられます。
電車の種類や駅名を驚くほど覚えたり、大好きなポケモンキャラクターの名前を永遠に言えたり、
聞き覚えのあるテレビのCMの歌を間違えずに歌えたり…と。
あの柔らかい頭があれば、どんなに良いか?!と羨ましく思います。
 
ありとあらゆる事を、いとも簡単に覚えられる子供たちにとって
「1から100まで暗唱する」のは決して難しい事ではないでしょう。
 
「20、21、22、23、24…………100」とお歌のように教え込むのではなく、数字の規則性に自分で
気付くにはどれだけの時間がかかるでしょうか。
それはもちろん、個人差があります。
入塾当時「い~ち、に~い、さ~ん」と10までゆっくり数えられる年中さんがいらっしゃいました。
約3か月後に20まで数えられるようになりましたが、その声は後半になればなるほど小さくなり、
自信のなさが表れておりました。
「1~20まで」の数だけをレッスンで数え続け、半年ほど経った頃「20の次は?」と問いかけると「21?」と答えてくれたのです。そして、そのまま数えるように促しました。
しかし、30まで数え終えたその子は、目に一杯涙を貯めていたのです。
それ以降、その子が20の次を自分から数えるまで「20までの数」を数え続けました。
また約半年の月日が流れたある日、「その日」はやって来たのです。
 
いつも通り100玉そろばんを数えていると「21、22…」と続け、なんと100まで一気に数えたのです。
途中で間違えることはなく、動かしている珠をきちんと確認し、丁寧に数えてくれました。
その子の誇らしげな笑顔は忘れられません。
規則性に気付いたその子は、10とびも、5とびも、すぐに出来るようになりました。
 
よく私たちは、子どもが自ら気付くまでの時間を節約し、ゴールに近づけたくなります。
目先の結果にとらわれず、寄り添うことで、崩れない土台を作るお手伝いをしていきたいですね。
子どもが自分で気付いた時に、隣で一緒に喜ぶことが出来たら、これ以上に嬉しい事はありません。
そしてそれをご理解下さり、決して急かさず、温かく見守って下さった親御様にも感謝しております。